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「納品して終わり」の開発会社を避けるための質問リスト

システムは納品された時点で完成ではなく、実際の運用が始まってから不具合対応、セキュリティ更新、業務変更への対応、機能追加などが継続的に発生します。そのため開発会社を選ぶ際は、開発費や実績だけでなく、リリース後の運用保守まで任せられるかを確認することが重要です。本記事では、システムの運用と保守の違い、運用保守サービスの主な内容、契約前に確認したいポイントを整理し、「納品して終わり」の開発会社を避けるために発注担当者が聞いておきたい質問を紹介します。

システム開発会社を選ぶとき、開発実績や見積もり金額には目が向いても、「リリースした後に誰が面倒を見てくれるのか」まで確認できているでしょうか。

システムは、一度完成すれば何年もそのまま使えるものではありません。

実際に運用を始めると、不具合への対応、利用環境の変化、セキュリティ対策、業務変更、利用者からの改善要望など、さまざまな対応が必要になります。

そのため開発会社を選ぶ際には、「作れる会社か」だけではなく「作った後も任せられる会社か」を見ることが重要です。

この記事では、システムの運用保守とは何か、運用と保守の違い、開発会社へ確認すべきポイント、そして「納品して終わり」の会社を避けるために契約前に聞いておきたい質問を紹介します。

システムの運用保守とは?

運用保守とは、リリースしたシステムを安定して使い続けるために行う、日常的な管理や障害対応、更新、改善などの業務です。

システム開発では、リリースした瞬間から実際の利用が始まります。

そこで初めて見つかる不具合や、利用者から出てくる改善要望もあります。

また、システムそのものに変更がなくても、OS、ブラウザ、クラウドサービス、外部API、ライブラリなど周辺環境は変化していきます。

そのため、システムを安定して使い続けるには継続的な対応が必要です。

運用保守で行うこと

具体例

障害対応

エラーやシステム停止が発生した際の調査・復旧

監視

サーバーやシステムが正常に動いているか確認する

バックアップ

データを定期的に保存し、障害時に復旧できる状態を保つ

セキュリティ対応

脆弱性への対応やライブラリ・OSの更新

問い合わせ対応

操作方法や不具合に関する利用者からの相談

改善・機能追加

業務変更や利用者の要望に合わせてシステムを改修する

「運用」と「保守」の違い

一般的に「運用」はシステムを日常的に動かすための業務、「保守」は問題が起きた際の修正やシステムを維持するための対応を指します。

システムの運用(監視・バックアップ確認・アカウント管理)と保守(障害・不具合対応、セキュリティ更新、OS・ライブラリ更新)の違いを示す図

運用

保守

日常的なシステム監視

不具合や障害への対応

バックアップ確認

プログラムの修正

アカウント管理

セキュリティアップデート

定期的なデータ処理

OS・ライブラリなどの更新対応

利用状況の確認

仕様変更・軽微な改修

ただし、実際の契約では運用と保守を明確に分けず、「運用保守」としてまとめて提供する会社も多くあります。

そのため、名称だけで判断せず、具体的に何を対応してもらえるのかを確認することが重要です。

なぜ「納品して終わり」の開発会社に注意すべきなのか

システムの価値が生まれるのは、完成したときではなく、実際の業務で使われ始めてからです。

リリース直後は問題なく動いていても、半年後、1年後には環境や業務が変化している可能性があります。

たとえば、次のような状況が発生します。

  • ブラウザのアップデートで一部機能が動かなくなった

  • 外部サービスのAPI仕様が変更された

  • 利用者が増えてシステムが重くなった

  • 新しい業務フローに合わせて機能変更が必要になった

  • セキュリティ上の脆弱性が見つかった

  • 現場から新しい機能追加の要望が出た

このとき開発会社との関係が納品時点で終了していると、自社で別の会社を探さなければなりません。

さらに、設計資料やソースコードが十分に残っていない場合は、別会社へ引き継ぐだけでも大きな工数がかかります。

リリース後に必要な安定稼働・問題への対応・安全と継続・改善の4つの対応を示す図

開発会社を選ぶ前に整理しておきたいことは、システム開発を外注する前に確認すべき5つのこと|発注準備ガイドにまとめています。

「保守あり」と書いてあれば安心とは限らない

保守契約の有無だけでなく、「何が含まれているか」「どこから追加費用になるか」まで確認しましょう。

同じ「月額保守」という契約でも、会社によって対応範囲は大きく異なります。

項目

A社

B社

障害対応

○

○

サーバー監視

×

○

軽微な修正

別途見積もり

月5時間まで含む

機能追加

別途見積もり

別途見積もり

セキュリティ更新

×

○

「保守費用が安い」という理由だけで比較すると、必要な対応が含まれていない可能性があります。

契約前に確認したい質問① 保守契約には何が含まれていますか?

最初に確認したいのは、「保守」という言葉が具体的にどの作業を指しているのかです。

開発会社には、次のように質問してみましょう。

「月額の運用保守費用には、具体的にどの作業が含まれていますか?」

特に確認したいのは次の項目です。

  • サーバー・システムの監視

  • 障害発生時の調査・復旧

  • バックアップ

  • セキュリティアップデート

  • 外部サービスの仕様変更対応

  • 軽微な修正

  • 操作方法などの問い合わせ対応

「障害対応のみ」の契約なのか、「軽微な改修まで含む」のかによって、実際の使い勝手は大きく変わります。

契約前に確認したい質問② どこからが追加費用になりますか?

保守契約の範囲と同じくらい重要なのが、「対象外となる作業」を確認することです。

たとえば、

  • テキストの修正

  • 入力項目の追加

  • CSV出力項目の変更

  • ユーザー権限の変更

  • 外部APIの仕様変更対応

などが月額費用に含まれるのか、都度見積もりになるのかを確認します。

「どの程度の変更まで月額保守の範囲で、どこから追加見積もりになりますか?」

と聞いておくと分かりやすいでしょう。

契約前に確認したい質問③ 障害が起きたときは何時間以内に対応してもらえますか?

「障害対応あり」だけでなく、受付時間・一次対応までの時間・休日対応の有無まで確認します。

確認項目

確認例

受付時間

平日10:00〜18:00など

一次対応

連絡から何時間以内に確認を開始するか

休日・夜間

緊急時に対応可能か

連絡方法

メール、電話、チャット、専用窓口など

業務への影響が大きい基幹システムと、社内の一部だけで使うシステムでは、必要なサポートレベルも異なります。

自社に必要な対応水準と契約内容が合っているか確認しましょう。

契約前に確認したい質問④ バックアップと復旧はどこまで対応しますか?

「バックアップを取っています」だけでなく、障害時に本当に復旧できる状態になっているかを確認します。

次のような点を聞いておきましょう。

  • 何をバックアップしているか

  • どのくらいの頻度で取得するか

  • 何世代保存するか

  • バックアップデータをどこに保存するか

  • 復元手順が用意されているか

  • 実際に復元できることを確認しているか

バックアップファイルが存在していても、復旧方法が分からなければ障害時にすぐ戻せない可能性があります。

契約前に確認したい質問⑤ セキュリティアップデートは誰が行いますか?

システム本体だけでなく、OS・フレームワーク・ライブラリなどの更新も継続的に発生します。

Webシステムでは、複数のソフトウェアやライブラリを組み合わせて開発することが一般的です。

その中で脆弱性が発見された場合、アップデートが必要になることがあります。

開発会社には、

「利用しているソフトウェアやライブラリに脆弱性が見つかった場合、どのように対応しますか?」

と確認しておきましょう。

セキュリティ対応が保守契約に含まれているのか、別途費用なのかも重要です。

契約前に確認したい質問⑥ 外部サービスの仕様変更には対応してもらえますか?

APIや外部サービスを利用するシステムでは、自社が何も変更していなくても改修が必要になる場合があります。

たとえば、

  • 決済サービス

  • Google Mapsなどの外部API

  • 会計システム

  • CRM

  • メール配信サービス

などと連携している場合、相手側の仕様変更によってシステム側の改修が必要になることがあります。

誰が仕様変更を把握し、誰が対応するのかを確認しておきましょう。

契約前に確認したい質問⑦ 機能追加や改善は継続して依頼できますか?

保守だけでなく、システムを継続的に改善できる体制があるかも確認しましょう。

リリース後には、実際の利用者から新しい要望が出てきます。

たとえば、

  • 検索条件を増やしたい

  • CSVで出力できる項目を追加したい

  • スマートフォンからも使いやすくしたい

  • 新しい部署でも利用したい

といった改善です。

開発会社によっては、納品後の保守は対応していても、新規開発や改善は別チームとなる場合があります。

「リリース後の機能追加は、どのような体制・契約で依頼できますか?」

まで確認しておくと安心です。

契約前に確認したい質問⑧ ソースコードは誰のものになりますか?

将来的に別の開発会社へ変更できるかどうかにも関わる重要な確認事項です。

開発したソースコードの権利がどこに帰属するかは、契約内容によって異なります。

もし開発会社側に権利が残り、ソースコードを受け取れない契約になっていると、将来的に別会社へ保守を引き継ぐことが難しくなる可能性があります。

契約前に、

  • ソースコードの権利帰属

  • ソースコードの納品有無

  • Gitなどリポジトリへのアクセス権

  • 第三者への開発引き継ぎが可能か

を確認しておきましょう。

契約前に確認したい質問⑨ 設計書や運用ドキュメントは残りますか?

担当者が変わってもシステムを理解できるように、必要なドキュメントが残るか確認します。

システム運用保守では、プログラムだけでなくドキュメントも重要です。

ドキュメント

主な内容

システム構成図

サーバーや外部サービスなどの構成

設計書

画面・機能・データなどの仕様

DB設計書

データベースの構造

運用手順書

日常的な管理方法や障害時の対応方法

アカウント一覧

利用している各サービスと管理権限

こうした資料があれば、担当エンジニアが変更された場合や、別会社へ引き継ぐ場合にもスムーズです。

契約前に確認したい質問⑩ 担当者が変わっても保守できますか?

特定のエンジニアだけがシステムを理解している状態になっていないかを確認します。

開発時の担当者が退職したり、別プロジェクトへ異動したりすることはあります。

その際、

「その人にしか分からないので対応できません」

となってしまうと、長期運用では大きなリスクになります。

開発会社には、

「担当者が変更になった場合でも、継続して保守できる体制になっていますか?」

と確認しましょう。

ドキュメントやレビュー体制が整っている会社であれば、特定の個人だけに知識が集中するリスクを減らせます。

開発会社へ聞いておきたい質問リスト

ここまでの内容を一覧にまとめます。見積もり・提案を比較するときのチェックリストとして利用できます。

契約前に確認したい項目を、契約条件・安定運用・継続と引き継ぎの3つに分類した図

#

質問

確認する目的

①

保守契約には何が含まれますか?

保守範囲を確認する

②

どこから追加費用になりますか?

追加コストの条件を確認する

③

障害時は何時間以内に対応しますか?

サポートレベルを確認する

④

バックアップと復旧はどう行いますか?

障害・データ消失への備えを確認する

⑤

セキュリティ更新は誰が行いますか?

継続的な安全性を確認する

⑥

外部サービスの仕様変更にも対応できますか?

外部連携の保守範囲を確認する

⑦

機能追加は継続して依頼できますか?

改善体制を確認する

⑧

ソースコードは誰に帰属しますか?

将来の引き継ぎ可能性を確認する

⑨

設計書・運用資料は納品されますか?

システム情報が残るか確認する

⑩

担当者が変わっても対応できますか?

属人化リスクを確認する

こんな回答をする開発会社には注意する

質問への回答内容だけでなく、「どの程度具体的に説明してくれるか」も開発会社を判断する材料になります。

回答例

確認したいこと

「何かあれば対応します」

具体的な対応範囲・時間・費用を確認する

「保守費に全部含まれます」

含まれる作業を一覧で確認する

「担当者が分かっているので大丈夫です」

担当者変更時の引き継ぎ方法を確認する

「バックアップはあります」

頻度・保存先・復元方法まで確認する

「改修も対応できます」

契約方法・単価・対応までの流れを確認する

回答が曖昧な場合は、そのまま契約を進めず、具体的な条件まで確認しましょう。

運用保守費用は「安さ」だけで比較しない

月額費用を比較するときも、開発費と同じく「何が含まれているか」を揃えて見る必要があります。

たとえば、月額5万円の保守と月額15万円の保守があったとしても、単純に5万円の方がお得とは限りません。

5万円の契約が障害対応のみで、15万円の契約に監視、セキュリティ対応、軽微な修正、定例会まで含まれている可能性があります。

運用保守費用を比較するときは、

  • 対応時間

  • 対応範囲

  • 月間作業時間

  • 障害時の対応速度

  • セキュリティ対応

  • 改善・改修の扱い

を同じ条件で比較することが重要です。

保守費用を含めた見積もりの見方は、システム開発の見積もりが会社によって大きく違う理由もあわせてご覧ください。

運用保守を別会社へ依頼することはできる?

技術的には可能なケースが多いものの、ソースコード・ドキュメント・管理権限などが揃っていることが前提になります。

開発会社との関係を将来的に変更する可能性も考えておく必要があります。

別会社へ引き継ぐためには、少なくとも次の情報が必要です。

  • ソースコード

  • システム構成

  • データベース情報

  • サーバー・クラウドの管理権限

  • ドメイン・DNSなどの管理情報

  • 外部サービスのアカウント情報

  • 設計書・仕様書

  • 現在発生している課題・既知の不具合

これらを開発会社だけが管理している状態では、ベンダー変更が難しくなる可能性があります。

発注側でも必要な権限や資料を持てる契約になっているか確認しておきましょう。

保守の継続が難しくなったシステムを見直す場合は、業務システムのリプレイスを検討するタイミングと進め方も参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q. システムの運用保守とは何ですか?

リリースしたシステムを安定して使い続けるために行う業務です。システム監視、障害対応、バックアップ、セキュリティ更新、問い合わせ対応、軽微な修正などが含まれることがあります。ただし、具体的な範囲は契約によって異なります。

Q. システムの運用と保守の違いは何ですか?

一般的に運用は監視やバックアップ、アカウント管理などシステムを日常的に動かす業務を指し、保守は障害対応やプログラム修正、セキュリティ更新など、システムを正常な状態に維持する業務を指します。実際には両者をまとめて運用保守として提供するケースもあります。

Q. システム開発後に保守契約は必要ですか?

システムの重要度や自社の運用体制によります。社内だけで障害対応やセキュリティ更新が難しい場合は、開発会社などと保守契約を結んでおくことで、問題発生時の対応先を確保できます。

Q. 運用保守費用には何が含まれますか?

会社や契約内容によって異なります。障害対応のみの場合もあれば、監視、バックアップ、セキュリティ対応、問い合わせ、一定時間までの軽微な改修を含む場合もあります。月額料金だけでなく具体的な対応範囲を確認しましょう。

Q. 開発会社と保守会社を別にしても問題ありませんか?

可能ですが、新しい保守会社がシステムを理解するための引き継ぎが必要になります。ソースコード、設計資料、インフラの管理権限などが揃っているか確認しましょう。

Q. 機能追加は運用保守に含まれますか?

契約によって異なります。軽微な変更まで月額保守に含む場合もありますが、新しい機能の追加は別途見積もりとなるケースが一般的です。どの程度の修正まで保守範囲なのか契約前に確認することが重要です。

まとめ|開発会社は「作った後」を確認してから選ぶ

開発会社を選ぶ際は、開発実績や見積もりだけでなく、リリース後にどのような支援を受けられるかまで確認することが重要です。

契約前に最低限確認しておきたい質問を改めて整理します。

  1. 保守契約には何が含まれますか?

  2. どこから追加費用になりますか?

  3. 障害時は何時間以内に対応しますか?

  4. バックアップと復旧はどのように行いますか?

  5. セキュリティアップデートは誰が行いますか?

  6. 外部サービスの仕様変更にも対応できますか?

  7. リリース後の機能追加を依頼できますか?

  8. ソースコードは誰に帰属しますか?

  9. 設計書や運用ドキュメントは残りますか?

  10. 担当者が変わっても継続して保守できますか?

重要なのは、「保守できます」という回答だけで判断しないことです。

何を、誰が、どのくらいの時間で、いくらで対応してくれるのかまで具体的に確認しましょう。

システムは納品時点ではなく、業務で使われ続けることで初めて価値を生みます。

長期間安心して利用できるシステムを作るためにも、開発会社を選ぶ段階から「リリース後の運用保守」まで含めて比較することが大切です。

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